筑波大学附属病院では、手術の効率を上げるために、非接触でパソコンを操作できるタッチレスインターフェイスを導入しました。タッチレスインターフェイスによって執刀医やスタッフの手を煩わせることなく手術ができるようになるなどのメリットがあります。
筑波大学附属病院では実際にタッチレスインターフェイス「aeroTAP」を導入したことで、手術の効率化が図れたこと、そして難しい手術もやりやすくなるなど大きく貢献しています。当記事では、タッチレスインターフェイス「aetoTAP」のメリットや、それによってどんな成果が得られたのかをご説明いたします。
もくじ
1. タッチレスインターフェイス、『aeroTAP』とは?
タッチレスインターフェイスの中でも「aeroTAP」が特に優れている機能は、パソコンに触れずにパソコンのモニターを操作できるタッチレスデバイスと3Dセンサーの両方の機能を持っていることです。デジタルサイネージやプレゼンテーションといった場面で役立つタッチレスデバイスとして導入されており、タッチレス化によって医療や福祉の現場でも活用されています。
aeroTAPの最大の特徴は、メインコンテンツの妨げにならないようにリソースを最小限に抑えていることです。いくら優れた機能があっても、処理が重くてユーザーが思っていた通りにスムーズにタッチレス操作ができなければ意味がありません。
aeroTAPはユーザーの直感的なタッチレス操作ができるようにデザインされています。
2. aeroTAPを外科手術に導入するメリットとは?
外科手術を行う際、aeroTAPを導入するメリットは多くあります。今まで課題にしていたことも、aeroTAPを導入することでコスト削減や手術の効率化が図れます。aeroTAPを外科手術に導入して得たメリットについてご説明いたします。
・手術中にタッチレスでモニターを操作できる
手術中にタッチレスでパソコンのモニターを操作できるのは、執刀医にとって大変嬉しいメリットです。タッチレスインターフェイスを導入していない場合、マウスやキーボードを操作しなければモニター情報が確認できませんでした。以前は、執刀医を含むチーム全員は清潔な手袋を着用しているので、マウスやキーボード操作の度に手袋を交換していました。
しかし、aeroTAPを導入ることにより、マウスやキーボード操作なしでモニターが操作できます。清潔な手袋をはずさずに、手のひらをカメラにかざすだけでいいので効率良く操作が可能です。
・使い慣れたアプリケーションで画像や動画を操作できる
手術中にモニターを確認したい時に、手のひらをかざすだけで、いつも使い慣れたアプリケーションで画像、動画が確認できるのは大きなメリットです。使い慣れたアプリケーションで確認したい情報がいつでも確認できるので、手術の大幅な効率アップにつながります。
・モニターを操作するためのスタッフが必要ない
執刀医を初めとしたチーム全員は清潔な手袋を着用しているため、以前はマウス操作を行うためだけのスタッフを配置しなければなりませんでした。しかし、aeroTAPの導入により執刀医自らタッチレスでモニター操作が行えるようになりました。もはやモニターを操作するためのスタッフが必要なくなりました。スタッフ一人分の人件費を削減できるのも大きなポイントです。
・チームの生産性の向上が図れる
今までは口頭で指示を出さなければならず、思うようにチーム全体に伝わらないことが多々ありました。特に若手の医師には正確な意図が伝わりにくく、それだけで多少の時間を費やしてしまうことも少なくありません。
しかし、aeroTAPは離れた場所からパソコンのモニターが操作できるため、執刀医だけでなくチーム全員でモニター情報が確認できます。これにより、チームメンバー全員で同じ情報を共有できるのでコミュニケーションの円滑化やチームの生産性が向上しました。円滑な情報共有によって手術の効率化が図れるのは大きなメリットです。
・衛生対策に必要な時間やコストが削減できる
病院内で一番避けたいのは、院内感染です。院内感染のリスクは手術中でも起こり得るもので、医療機器に細菌が付着することで温床になる恐れがあります。特に手術中は医療機器に触れることで手袋に細菌が付着してしまうため、医療機器の一つであるパソコンの操作の度に細菌感染を防ぐために滅菌手袋を外さなければなりませんでした。
しかし、aeroTAPを導入することでパソコンに触ることなく手術ができるようになり、これにより医療機器に触れずに済むので、院内感染のリスクを大幅に軽減させることが可能になりました。
滅菌手袋を交換する必要性がなくなるので医療資源のコスト削減が実現し、逐一手袋を外さなくてもパソコンが操作できるので施術時間の短縮につながりました。感染予防に必要だった時間やコストを大きく削減できるため、効率的な手術が実現するのが大きなメリットです。
2. aeroTAPは手術中にどんな成果をもたらしてくれたのか?
aeroTAPを導入することで、手術中において様々な成果をもたらしてくれます。aeroTAPは性能面で優れており、誤認識もほぼないのでより正確なモニター操作が可能です。このようにタッチレスインターフェイスを導入するだけで大きな成果がもたらされるため、導入する価値は十分にあります。
・誤認識がほぼ無く、アプリケーション操作が正確になり、施術の安全性が高まった
aeroTAPの優秀なポイントは誤認識がほぼないことです。手術中にアプリケーション操作を誤るようなことがあってはならないので、正確にパソコンのモニターを操作できるアプリケーションが必要でした。aeroTAPは正確に手のひらを認識してモニター操作をすることができ、手術の正確性や安全性が高まりました。
aeroTAPによってアプリケーションの操作も正確になり、現在どのような状況なのかが分かることで次に何をすればいいのかが把握しやすくなります。これによってチーム全体が同じ情報を共有し、指示が出しやすくなるので施術時間を短縮しつつ、難易度の高い手術も従来より安全性が高くなりました。
これは現場の若手医師の教育にも大いに役立っており、手をかざしながら3D画像を回転させながら教育することが可能です。
・複雑で手術が難しい肝臓の手術に大きく貢献している
肝臓には血管が張り巡らされているので施術が非常に難しく、全摘手術はさらに難易度が高くなります。事前におおよその施術内容は理解しても、手術中に変化しうる肝臓の内部構造までは分かりません。しかし、筑波大学附属病院ではaeroTAPを導入したことで、肝臓変形エミュレーションやDICOM(医用画像)ビューアを術中にタッチレスで操作可能となりました。
以前は複雑で難しい手術を行うために、新しい設備を必要としたり技術精度を高めたりしなければなりませんでした。新しい設備の導入にはコストがかかり、新しい設備をすぐに操作できる医師がなかなかいなかったりと様々な問題が発生していました。
aeroTAPはこれらの問題を解決する有効的な手段として大いに活用されました。マウス操作いらずで、今まで使用していたアプリケーションをそのままタッチレス化できるようになったのです。
一分一秒が重要な手術中において、手術の正確性や安全性を向上させつつ、コストパフォーマンスの向上が可能になったのは大きな貢献だと言えるでしょう。
3. まとめ
手術中は決して失敗することができず、モニター操作で常に臓器の状態を把握する必要性があります。しかし、以前はモニターを操作するためには院内感染を防ぐために滅菌手袋を外さなければならず、モニターを操作するたびに医療資源を無駄にしてしまいます。
チーム全体に指示を出しても正確な意図が伝わっていないこともあり、思うように手術が進まないこともありました。そこでタッチレスインターフェイスのaeroTAPを導入することで、滅菌手袋をしたままいつも使っているアプリケーションを使ってタッチレスで状態を確認し、チーム全体で情報が共有でるようになりました。
手術時間の短縮やコスト削減にもなるなど、医療現場において画期的なシステムだと言えます。